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ここは花の都・オロチ城。
そこでは、小紫による三味線が披露されていた。
「おお いつものあの曲!!」
「そうそうこの曲じゃ くるしゅうない!!」
「ため息が出るわ 美しい音色…!!」
すると、聞いている人間からは、口々にそんな賞賛の言葉が出る。
狐の面をつけながら披露される美しい三味線は、いつも決まってその曲で、人々はみんなこれを楽しみにしているのだ。
しかし、小紫がこの曲を三味線でひくとき、何故かいつも面をつける。
その理由だけは、誰も知らないことだった。
そして、そんな三味線の音が響く中、
ロビンはひとり、お庭番衆と対峙していた。
言い訳に許された回数は一回。
さらには
「正直に話せば苦しまずに瞬殺、さもなければ辛い拷問」
というひどい条件も付け加えられる。
「お前は何者で…何をしていた?」
そしてそう問いかけた福ロクジュに、ロビンは重々しく、そして衝撃の言葉を発した。
「「丑三つ小僧」花の都のお金の流れを探るために来たの」
それを聞いた福ロクジュは、
「気の利いた答えだ」と言う。
しかし、その答えに納得するわけはなく、ロビンを捕らえるよう指示が飛んだ。
すると、どこからともなく彼女に向かって手裏剣や糸のようなものが飛んできて、抵抗する間もなくロビンは捕らえられてしまう。
何故彼女の嘘がバレたのか。
というのも、丑三つ小僧は、既に先ほど、都に姿を現していたというのだ。
だが、この勝負はロビンの方が一枚上手だった。
捕らえられたと思ったロビンは、花吹雪とともに消えていく。
捕まったのは、彼女の能力で作られた分身だったのだ。
逃がしたお庭番衆は、ロビンが忍者か、はたまた物の怪かと大騒ぎ。
そして再びロビンを探す彼らの一方で、本物のロビンは逃げ切り、
ナミとしのぶ、ブルックに連絡をとっていた。
「ごめんなさい バレたわ! 城内に最低11人の忍者を確認」
まずロビンのそんな報告を受けたのは、屋根裏に潜むナミとしのぶ。
まさかロビンがバレたのか、ということと、忍者が11人も潜んでいる、ということに、ナミはかなりの衝撃を受けた。
その傍にいたしのぶは、ロビンを護衛すると言うと同時、お庭番衆が優秀であることを教えてくれる。
そしてもう一人、城内の井戸に隠れていたブルックも、報告に衝撃を受けていた。
やっと食糧集め以外の仕事だったのに、とぼやいていたが、その近くには福ロクジュの姿があって―――…。
そんなやり取りを経て、宴に戻るロビン。
すると、戻って早々に、オロチに声を掛けられた。
それをチャンスだと思ったロビンは、オロチの元へ行き、話し相手になることに。
もちろん、お庭番衆のことは警戒しつつ、だ。
そしてロビンは、おかめの面で自分の顔を伏せつつも、オロチに鬼ヶ島の事を尋ねてみた。
するとオロチは、何故あんな島を、と訝し気な様子。
一方、少し離れた場所では、狂死郎が男たちと酒を飲んでいた。
彼らの話題は小紫のことのようで、彼女の「裏の顔」が怖いと噂していた。
そして、彼女が「狂死郎の遊郭から出た女性である」ことを話しながら、狂死郎がよく”飼いならしている”と褒める男たち。
それに対し、狂死郎は「遊女を犬か何かのように言うな」と窘め、
そして言うのだ。
「”人は花”よ アンタがきれいな水でなけりゃ 女もしとやかに咲くもんかね」
それを受け、男たちは「一本とられた」と笑うが、その真意は、一体どこにあるのか。
そしてさらには、サンジに送った”飛び六胞”のことも話題にあがる。
酷いことをする、と言いながらも笑う彼らに、狂死郎は”ヤクザはどんな三下も盃を交わせば親子”と笑い、自分の子供がやられたら徹底的にやり返す姿勢を見せた。
「その通りじゃ狂死郎!!!」
そんななかに、徐にオロチが口を挟んだ。
かと思いきや、狂死郎のやり方を認めるように言った後、相手が”亡霊”であっても、相手は圧倒的な力で潰さなくてはならない、と主張しだす。
そんな彼は、突然続けて、部下に大声で話をしだした。
今年は光月おでんの死後20年が経った年。
妻であるトキの歌にあった、光月家復讐の年でもある。
それを語りだしたオロチは、
「おでんの意志は今もどこかで生きている」
と主張した。
しかし、その話を聞いていた部下は、オロチの話を聞き飽きた様子で、またかとぼやく。
だがオロチはそんな反応に構うことなく、
赤鞘九人男の規格外の強さを憶えているか、と語った。
なかでもリーダー格の錦えもんは非常に頭がよく回り、
そして、20年後の今、必ず復活し、自分の首を獲る準備を着実に進めているだろうと言うオロチ。
そんな彼は、九里での横綱の事件、ジャックの部下との戦闘、そば屋の事件、宿場の浪人がヤクザを襲った事件、それらすべての黒幕は、錦えもんだと読んでいた。
しかし、その話を聞いた狂死郎は、楽しそうに語った。
「狐火の錦えもん以下 ”赤鞘”の侍達… 出くわすなら望む所!! 一太刀に斬ってご覧いれましょう」
そんな狂死郎の言葉に、オロチは「心強い」とは言うものの、彼の危惧は消えないようだ。
自分の目の前で死んだことを確認したおでん。
しかし、息子の”モモの助”は死体が上がってきていない。
だからこそオロチは、モモの助は生きていて、光月家の血は途絶えていないと読んでいた。
そして彼らは、光月家を復活させ、オロチとカイドウを討ちにくるに違いない、と。
そんな話を、神妙な面持ちで聞くのは、ロビンと小紫。
一方でオロチの部下は、殿はどこまで小心者なのかと必死に笑いをこらえていた。
しかしそんななかで、
おトコは我慢できず、声を上げて笑ってしまう。
殿様が皆に馬鹿にされているこの状況が、彼女のツボにはまってしまったのだ。
それを、自分が笑われたのだと勘違いしたオロチは怒り、怒鳴り声をあげる。
しかしおトコの笑い声は止まらない。
慌ててロビンが名前を呼んでも、まったくそれは収まることがなかった。
すると怒りが抑えられないオロチは、刀を抜く。
「わしは将軍であるぞ 20年前の遺恨 わしが恐れているとでも言いたいのか」
そしてオロチはそう言い、続けて「自分は勝者だ」とうわ言のように呟いた。
一気に緊迫する宴会場。
小紫は、そんななかでオロチを止めるように叫んだ。
「やめんなし!!! 殿!!! まだ幼子でありんす」
しかし、それは火に油を注ぐ形となり、
オロチは刀を振り下ろし、襖を真っ二つに。
一層騒ぎは大きくなり、周りにいた遊女たちは必死に、おトコは笑い上戸なのだと言い訳するが、オロチの耳には全く届かないようだった。
そんななかで、小紫だけが静かに立ち上がり、そしてオロチに向かっていった。
そのまま彼女は手を振り上げると、おトコとオロチの間に立ち、
オロチに強烈なビンタを繰り出す。
部下はあまりのことに、声にならない声をあげる。
そして謝れと小紫に必死に言うが、彼女は決して謝らなかった。
「イヤでありんす わちきは 誰にもヘリくだらぬ!!」
そして続けて、自分が正しいと思えば、一歩も譲らないという小紫。
その態度は、能力で何とかしようと構えていたロビンも、動きを止めてしまうほどの衝撃。
しかし、当の小紫だけは変わらず凛としていた。
か弱き女がご所望なら、どうぞ切り捨てて構わないと。
「わちきは武士の娘!! 無様に生きはしない!!!」
そしてそう叫んだ小紫に、オロチはもう我慢の限界だった。
「遊女風情が生意気に武士を語るな!!! 小紫ィ~~!!!」
そう叫んだオロチは怒り狂い、ヤマタノオロチのような姿に変わる。
必死に部下は彼を止めるが、オロチの耳には変わらず届かなかった。
そんななか、ロビンはこっそりとおトコを抱きかかえ逃がそうとするが、そんなところをお庭番衆に見つかってしまう。
混乱の極みが広がる中、狂死郎は笑いながら、自分の刀に手をかけ―――